2017年6月8日木曜日

 私たちは生きてゆくのにさまざまな物語を必要とする。たとえ無自覚的だったとしても、それらを鏡として自己の姿を映し出し、自分に固有な生き方の物語を模索している。活字文化が衰退しデジタル文化に移行しても、それは生の根源的な欲求として変わらない。(早稲田大教授・千葉俊二、読売新聞2017年6月8日朝刊「谷崎文学のもつ物語の力)